頭皮の毛細血管は「髪の寿命」を決める 〜一次研究のエビデンスでわかる“血流と育毛”の本当の話〜

こんにちは。
エブリカラーデイズ毛髪診断士 鈴木です。
今日は、髪のお悩みを抱える多くの方に必ずお伝えしている、とても大切なテーマについて書きます。
「毛細血管がなくなると、髪は育たない」
この事実、意外と知られていません。
育毛と聞くと “育毛剤をつける”“シャンプーを変える” など、どうしても表面のケアに意識が向きがちですよね。
もちろんそれも大事ですが、髪の土台を決めているのはもっと深いところ。
それが 頭皮の毛細血管です。
髪は血液から栄養を受けとり、そのエネルギーで細胞分裂を繰り返しながら伸びていきます。
つまり 血流の質=髪の生命線 なんです。
今日は、次の5つのテーマに沿って、一次研究(一次情報)にもとづきながら、なるべくわかりやすく解説していきます。
本ブログの内容は動画でも解説しています。
Contents
【目次】
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毛細血管とは何か
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毛細血管が減る理由
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毛細血管は再生する
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毛細血管と髪の関係
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毛細血管を増やす方法(実践)
① 毛細血管とは何か
まずは、基本のところから。
毛細血管は、私たちの身体の中で もっとも細い血管 です。
その役割はとてもシンプルで、しかし極めて重要。
●毛細血管の役割
髪を作る“毛包”へ
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酸素
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アミノ酸
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ミネラル
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ビタミン
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グルコース(エネルギー源)
などを届ける、「最終配送路」のような存在です。
髪の毛を作っている毛母細胞は、身体のなかでもトップクラスに細胞分裂が速い組織 です。
つまり、エネルギーの消費が激しい。
そのため、
毛細血管がしっかり働く=髪が育つ土台が整う
ということになります。
さらに毛細血管の状態は、
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髪の太さ
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ハリ・コシ
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ボリューム
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抜けにくさ
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白髪化の進行スピード
など、髪の“質”そのものを左右することが研究から分かっています。
② 毛細血管が減る理由
では、なぜ毛細血管は減ってしまうのか。
理由はとてもシンプルで、そして厄介です。
◆理由:血流が落ちるから
毛細血管は「血液が通っていること」が存在条件です。
血流が落ちると、次のことが同時に起きます。
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酸素供給の低下
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毛包への栄養運搬の低下
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VEGF(血管内皮増殖因子)の分泌低下
放置すると毛細血管は萎縮し、機能しない“ゴースト血管”になります。
“形はあるけど、血液が通っていない血管” ですね。
医学的にも、これは老化や生活習慣の影響で起こることが多数報告されています。
◆特に頭皮は血流が落ちやすい
頭皮は身体の中でも
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毛細血管密度が高く
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血流の依存度が強く
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影響を受けやすい部位
です。
そのため、日常のちょっとした負荷でも血行不良が起きがち。
具体的には
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ストレス
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睡眠不足
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運動不足
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自律神経の乱れ
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首・肩の過緊張(僧帽筋のコリ)
など。
特に首肩のコリは外頚動脈の血流を直接妨げる ため、頭皮への血液供給が落ちやすい、というのが臨床研究でも指摘されています(Physiological Reports, 2019)。
だからこそ、頭皮の毛細血管は「消えやすい」。
髪が細くなる前に、まず毛細血管が弱っていることが多いんです。
③ 毛細血管は再生する
ここまで読むと、
「毛細血管って、そんなにすぐ減るの?」
「じゃあ終わり…?」
と思ってしまいますよね。
でも、安心してください。
毛細血管は再生します。
これは一次研究でも数多く証明されています。
◆再生の仕組み:血流が戻る → VEGFが分泌される
血流が改善すると、その部位には酸素が届くようになります。
すると体は、
「この部分はよく使われている」
と判断し、
VEGF(血管内皮増殖因子) を分泌するようになります。
VEGFは、
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新しい血管を作れ
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傷んだ血管を修復しろ
という指令を出すスイッチ。
このVEGFが働くことで、
しぼんでいた毛細血管が再び伸び、増え、働きを取り戻す——
という仕組みです。
つまり、
毛細血管は、減っても“終わり”ではない。
必要な刺激(血流)が入れば、再生する。
これは希望のある話です。
実際、軽い運動やマッサージでVEGFの発現が上昇することも報告されています(J Physiol Sci, 2013 / PLOS ONE, 2016)。
④ 毛細血管と髪の関係
では、毛細血管が髪にどう関わるのか?
毛包はエネルギー消費が激しい組織なので、血流不足になるとすぐに異変が起きます。
◆頭皮の血流不足で起きること
一次研究から分かっているのは次のとおりです。
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髪が細くなる
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抜け毛の増加
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白髪の進行(メラノサイトが酸化ストレスに弱くなる)
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成長期(Anagen期)が短くなる
逆に、毛細血管が増えて血流が改善すると、
毛包のミトコンドリア機能が回復し、成長期が安定する
ことが研究で確認されています。
つまり、
髪の太さ・密度・黒さの基盤は毛細血管で決まる。
育毛の本質は「血流アプローチ」にある、ということです。
⑤ 毛細血管を増やす方法(今日からできる3つ)
専門的に聞こえますが、方法はとてもシンプルです。
どれも生活の中で無理なく取り入れられるものばかり。
✔ ① 頭皮マッサージ(1〜2分でOK)
強く押す必要はありません。
軽いメカニカル刺激だけでVEGF発現が上昇することが研究で報告されています(PLOS ONE, 2016)。
ポイント
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指の腹でゆっくり動かす
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痛いほど圧をかけない
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呼吸と一緒にリズムよく
これだけでも、頭皮の血流はしっかり変わります。
✔ ② 首・肩の血流を改善する
頭皮に血液を届けるのは “外頚動脈” です。
その上流が固くなると、髪に必要な栄養が届きません。
軽いストレッチだけでも
頭皮の酸素飽和度が上がることが計測研究で確認されています(Physiological Reports, 2019)。
とくに
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僧帽筋
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肩甲挙筋
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胸鎖乳突筋
このあたりが硬くなると、血流は一気に悪くなります。
✔ ③ 軽い運動・温熱(ウォーキング・深呼吸・湯船)
派手な運動は必要ありません。
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少し息が弾む散歩
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深い呼吸
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10分程度の湯船
これらすべてが
VEGFの分泌を誘導する刺激 であることが分かっています(J Physiol Sci, 2013)。
運動が苦手でも大丈夫。
血流が「動く」きっかけさえあれば、毛細血管は確実に反応します。
まとめ:毛細血管は、髪の未来を変える
最後に、今日の内容をぎゅっとまとめます。
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毛細血管は血流が落ちるとしぼむ
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でも血流が戻れば再生する(angiogenesis)
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髪の太さ・黒さ・成長期には毛細血管が深く関わる
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やるべきは “血流アプローチ”
具体的には
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軽い頭皮マッサージ
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首肩の緊張をほぐす
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軽い運動・温熱
この3つだけでも、毛細血管は確実に反応します。
髪は外側からのケアも大事ですが、
“内側の血流” が整うと、髪は本来の力を取り戻していきます。
変化はゆっくりですが、内部では確実に進んでいます。
今日からほんの1〜2分、自分の頭皮をいたわってあげてくださいね。
あなたの髪が、また元気に伸びていくお手伝いができれば嬉しいです。
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